先日、枚方診断士の会の活動で、事業者様と「壁打ち」を実施してきました。

ビジネスシーンでの「壁打ち」とは、事業者様が考えられているアイデア、構想、課題、悩みなどを、他者に聞いてもらう行為のことをいいます。対話を通じて、思考を整理したり、考えを深めたり、新たな気づきを得るコミュニケーションの手法となります。

今回はメンマ事業や竹関連事業のお話を聞いてきましたので、ご紹介していきます。

枚方診断士の会は、「枚方」にゆかりのある中小企業診断士の交流を行い、地元愛に溢れる、地域に焦点を当てた活動を企画、実施しています。詳細は、以前の記事をご確認ください。

事業者様の概要

今回の壁打ち企画は、京阪枚方市駅の近くでスパイスカレーのお店を経営されている、「スパイス工房 燦」様です。店舗をお借りして実施したので、スパイスのいい香りをまといながら、壁打ちを実施しました。

スパイス工房 燦様:HP

店舗の看板

対象の事業は、枚方市内の竹林から収穫した幼竹(伸びすぎた筍)を自社で加工して、スパイスで独自の味付けをした「枚方メンマ」と竹関連の事業を営んでおられて、枚方市の新たな特産品になる得る商品の開発~販売をされています。

枚方メンマ:HP

まずは事業者様より、事業概要や現状の取り組み、事業を行う背景/経緯を伺うところからスタートし、徐々に壁打ちに移行していきました。

元々は、スパイスカレーの食材クオリティを上げるために、畑で野菜を育てるために、穂谷で畑を行っていました。その畑の隣が荒れた竹林で、竹が畑に侵食していた状況であったため、竹林を整備することを実施されました。

「やってみると結構面白い」と感想を持ったそうですが、いろいろと調べていくうちに、「放置竹林」の問題が全国各地で起こっていることを知り、店のスタッフとお客様で里山保全団体「BAMBOO燦」を立ち上げております。

BAMBOO燦:HP

放置竹林の問題

ここからは「放置竹林」の問題について、整理していきます。

かつては筍(たけのこ)や竹材として利用価値が高かった竹林が、安価な輸入竹材の増加や他素材の代替えによる受領の低減や、生産者の高齢化や担い手不足、そして何よりも管理に手間がかかることから手入れされなくなり、放置されるケースが急増しています。

竹は繁殖力が強いため、放置竹林は以下のような問題を引き起こします。

  • 生態系への悪影響

竹が他の植物より上に伸びるため、日光を遮ることで、さまざまな生物の発育に影響を及ぼし、結果として、森全体のバランスが崩れてしまいます。

  • 災害リスクの増加

竹の根は地表近くに浅く横に広がるため、土砂崩れが起きやすくなります。特に雨が多い時や地震の際には危険です。また育ちすぎた竹が倒れて、家や道路、電線に被害を与えることもあります。

  • 農林業への影響

竹が農地や他の森林に広がり、作物の生育を妨げたり、他の木の成長を邪魔したりします。また竹林はイノシシやシカなどの野生動物の隠れ家になり、農作物への被害が増える原因にもなります。

これらの問題を引き起こさないため、人の手による整備と、整備した竹の有効活用が求められています。

参加した感想

壁打ちは、穏やかな空気で進み、事業者様も色々なお話をしていただけたので、とても良い時間を過ごせたと思います。また竹林に関する問題や、メンマの加工、地域とのかかわりなど、聞いている側も勉強になることが多く、双方に理解を深めながら対話ができていたように思います。

事業も、過去から進めている部分がベースにありましたので、やるべきこと/検討すべきことをたくさんお考えでした。正直、商品、集客、加工など多岐にわたって、お考えをもって進められていたので、今後の事業拡大が楽しみだと感じました。

メンマと言えば、ラーメンに乗っている姿を思い浮かべることが多いと思いますし、あとは小鉢に入ってお酒のアテとして食べるイメージがとても強くあります。ただ事業者様としては、今までのメンマの既成概念を壊して、ご飯のお供になるメンマを目指していきたいとお話しされていたのが印象的でした。

枚方メンマは、一度、購入したことがあるのですが、スパイスと合わさってとても美味しくいただけますし、あまり他に見ない商品ですので、差別化もできているのだと思います。改めてお話を聞いていて、他の味も試してみたくなりましたし、ご飯と併せて食べてみようと思いました。

最後に

今回は1回目の取り組みでしたので、双方の理解とネットワーキングの意味合いも大きかったですが、この後の懇親会では、壁打ちに参加できなかったメンバーも駆けつけ、たくさんの会話と交流をさせていただきました。

今回の企画の出会いは、以前に枚方診断士の会で行った活動を事業者様が聞き、メンバーに「会ってみたい」と言っていたことから、急にカレーを食べに行き、お声がけさせていただいたことに端を発します。

中小企業診断士は「どこに行けばいるのか?」問合われることもあるくらい、まだまだ身近ではないですし、地位向上が課題の士業になっています。地域にいるからこそ、気軽に会えて、何でも質問や会話ができる関係性を、広げていけたらと思っています。

お近くで、会って会話してみたいという要望がありましたら会いに行きますので、お気軽にお声がけください。