企業の持続的な成長において、新規開拓営業の重要性はますます高まっています。しかし「何から手をつければいいか分からない」「テレアポや飛び込みをしても成果が出ない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。新規開拓の成功には、自社に合った手法を選び、顧客の課題解決に徹することが不可欠です。
本記事では、新規開拓営業の基本的な意味やルート営業との違いから、具体的な手法、成功への5ステップ、そして成果を出すためのマインドやテクニックまでを網羅的に解説します。
1. 新規開拓営業とは 意味と重要性を理解する
企業の成長戦略において、売上を拡大させるためのエンジンとなるのが「営業活動」です。その中でも特に、ビジネスの未来を切り拓く上で欠かせないのが「新規開拓営業」です。しかし、多くの営業担当者にとって、新規開拓は精神的な負担が大きく、成果を出すのが難しいと感じる領域ではないでしょうか。
この章では、まず新規開拓営業の基本的な意味と、なぜ今その重要性が高まっているのかを深く掘り下げて解説します。
1.1 新規開拓営業の基本的な意味
新規開拓営業とは、これまで一度も取引のない企業や個人に対して、自社の製品やサービスを提案し、新たな顧客として契約を獲得するための一連の営業活動を指します。文字通り、新しい顧客をゼロから開拓していくことがミッションであり、企業の顧客基盤を拡大し、事業成長をドライブさせるための起点となる重要な役割を担っています。
この活動には、アプローチ先のリストアップから始まり、電話やメール、訪問などを通じて接点を持ち、商談のアポイントメントを獲得し、最終的に契約を締結するまで、多岐にわたるプロセスが含まれます。関係性が構築されていない相手に対して、自社や自社のサービスに興味を持ってもらう必要があるため、高度なコミュニケーション能力と粘り強さが求められる営業スタイルです。
1.2 ルート営業との明確な違い
新規開拓営業をより深く理解するために、対照的な営業スタイルである「ルート営業」との違いを明確にしておきましょう。ルート営業は、すでに取引のある既存顧客を定期的に訪問し、関係性を維持・深化させながら、製品の追加発注やアップセル・クロスセルといった新たな提案を通じて売上を拡大させていく活動です。
両者の最も大きな違いは、アプローチする対象にあります。新規開拓営業が「未取引の顧客」を対象とするのに対し、ルート営業は「既存の顧客」を対象とします。この違いから、営業活動の目的や求められるスキルも大きく異なります。
新規開拓営業は、まだ認知されていない状態から信頼を勝ち取り、新たな契約を獲得することが目的であり、「狩猟型」の営業と例えられます。一方、ルート営業は、築き上げた信頼関係を基盤に、顧客との関係を長く育んでいくことが目的であり、「農耕型」の営業と言えるでしょう。どちらが優れているというわけではなく、企業の成長フェーズや戦略に応じて、両者のバランスを取ることが重要になります。
1.3 なぜ今新規開拓営業が重要なのか
現代のビジネス環境において、新規開拓営業の重要性はますます高まっています。その背景には、いくつかの複合的な要因が存在します。
第一に、多くの市場が成熟期を迎え、国内市場全体が縮小傾向にあることが挙げられます。少子高齢化による人口減少もあり、既存顧客からの売上だけで事業を維持・成長させることが困難になってきているのです。このような状況下で企業が生き残り、持続的に成長するためには、常に新しい顧客を獲得し、収益源を確保し続ける必要があります。
第二に、顧客ニーズの多様化と変化のスピードが加速している点です。テクノロジーの進化やグローバル化の影響により、顧客が求める価値は絶えず変化しています。昨日までの優良顧客が、競合他社の新しいサービスに乗り換えたり、事業方針の転換によって取引が終了したりする「顧客離れ(チャーン)」のリスクは常に存在します。
既存顧客との関係維持だけに注力していると、こうした環境変化に対応できず、売上が急激に落ち込む危険性があるのです。新規開拓は、こうしたリスクを分散させ、事業基盤を安定させるための重要な一手となります。
最後に、新規顧客の獲得は、将来のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めるための出発点であるという視点も重要です。今日獲得した一社の新規顧客が、数年後には自社にとって最も重要なパートナーへと成長する可能性を秘めています。未来への投資として、企業は戦略的に新規開拓営業に取り組む必要があるのです。
2. 新規開拓営業の代表的な手法一覧
新規開拓営業の手法は、企業側から積極的にアプローチする「アウトバウンド型」と、顧客からのアクションを促す「インバウンド型」の2種類に大別されます。それぞれに特徴があり、自社の商材やターゲット、かけられるリソースに応じて最適な手法を選択、あるいは組み合わせていくことが重要です。
ここでは、代表的な手法をそれぞれの型に分けて具体的に解説します。
2.1 アウトバウンド型の手法
アウトバウンド型の手法は、いわゆる「プッシュ型」の営業スタイルです。営業担当者が主体となり、まだ自社を認知していない、あるいは関心度が低い潜在顧客に対して能動的にアプローチを仕掛けます。古くからある営業手法ですが、ターゲットを絞って集中的にアプローチできるため、短期的に成果を出しやすいというメリットがあります。一方で、相手のタイミングを考慮しないアプローチは敬遠されるリスクも伴います。
2.1.1 電話でアプローチするテレアポ
テレアポ(テレフォンアポイントメント)は、作成したリストをもとに見込み客へ電話をかけ、商談や訪問のアポイント獲得を目指す手法です。移動時間がかからず、短時間で多くの企業にアプローチできる効率の良さが最大のメリットです。
しかし、企業の受付で断られたり、担当者に繋がっても話を聞いてもらえなかったりするケースが多く、成功率は決して高くありません。質の高いアプローチリストの準備と、相手の関心を引く簡潔なトークスクリプトが成功の鍵を握ります。
2.1.2 直接訪問する飛び込み営業
飛び込み営業は、事前の約束なしに直接企業や店舗を訪問し、製品やサービスを売り込む手法です。担当者の顔を見て直接話せるため、電話やメールでは伝わりにくい熱意を伝えやすいという利点があります。また、訪問先の雰囲気や周辺地域の特性を肌で感じられるため、思わぬニーズを発見できる可能性もあります。
ただし、担当者不在で無駄足になることも多く、移動を含めると非常に効率が悪い側面も持ち合わせています。近年ではセキュリティの厳しいオフィスビルも増えており、物理的に訪問が困難なケースも少なくありません。
2.1.3 Eメールを活用したメール営業
リストアップした企業の担当者宛に、Eメールを送付してアプローチする手法です。MA(マーケティングオートメーション)ツールなどを活用すれば、一度に多くの相手へ低コストでアプローチできます。また、相手の都合の良いタイミングで内容を確認してもらえる点や、URLを記載して自社サイトや資料へ誘導しやすい点もメリットです。
一方で、多くの営業メールに埋もれて開封すらされない可能性も高く、迷惑メールとして処理されてしまうリスクもあります。相手の興味を引く件名の工夫や、一斉送信でも個別に語りかけるようなパーソナライズされた文面を作成することが効果を高めます。
2.1.4 問い合わせフォームからのアプローチ
企業のWebサイトに設置されている「お問い合わせフォーム」を活用して、営業メッセージを送信する手法です。多くの場合、フォームからの連絡は担当部署に直接届くため、テレアポのように受付で断られることなく、キーパーソンに読んでもらえる可能性が高いのが特徴です。メールアドレスが不明な企業にもアプローチできる有効な手段といえます。
ただし、企業によっては営業目的でのフォーム利用を明確に禁止している場合もあるため注意が必要です。簡潔に用件を伝え、相手にとってのメリットを明確に示すことが返信を得るためのポイントです。
2.1.5 手紙やFAXを送るダイレクトメール
手紙(DM)やFAXといったアナログな媒体を用いて、製品カタログや案内状を送付する手法です。デジタルでのアプローチが主流の現代において、物理的に届く手紙はかえって新鮮で、開封率が高い傾向にあります。特に、決裁者である経営層向けには有効な場合があります。
一方で、印刷や郵送にコストと時間がかかる点や、効果測定が難しい点がデメリットです。FAXDMはクレームに繋がるリスクも高いため、送付先の選定には細心の注意が求められます。
2.2 インバウンド型の手法
インバウンド型の手法は、「プル型」の営業スタイルです。ブログ記事やセミナーなど、見込み客にとって価値のある情報を提供することで、自社やそのサービスに興味を持ってもらい、顧客側からの問い合わせや資料請求といったアクションを促します。
成果が出るまでに時間がかかる中長期的な施策ですが、一度仕組みを構築できれば、継続的に質の高い見込み客(リード)を獲得できる点が大きな魅力です。
2.2.1 Webサイトを活用したコンテンツマーケティング
見込み客が抱える課題や悩みを解決するような、質の高いコンテンツ(ブログ記事、導入事例、ホワイトペーパーなど)を自社のWebサイト(オウンドメディア)で発信し、検索エンジンなどから集客する手法です。潜在的な顧客層に広くアプローチできるだけでなく、コンテンツを通じて自社の専門性や信頼性を示すことができます。作成したコンテンツは企業の資産として蓄積され、継続的にリードを生み出す装置となり得ます。
成果を出すには、SEO(検索エンジン最適化)の知識や、ターゲットのニーズを的確に捉えたコンテンツを企画・制作するスキルが不可欠です。
2.2.2 セミナーやウェビナーの開催
特定のテーマに関心を持つ人々を集めて、セミナー(会場での対面形式)やウェビナー(オンライン形式)を開催する手法です。自社の専門知識を披露することで参加者の信頼を獲得し、その後の個別商談へと繋げます。参加者はそのテーマに高い関心を持っているため、非常に質の高い見込み客となる可能性が高いのが特徴です。
特にウェビナーは場所の制約がなく、全国どこからでも参加者を集められるため、近年多くの企業が取り入れています。魅力的なテーマ設定と効果的な集客、そして開催後の丁寧なフォローアップが成功を左右します。
2.2.3 SNSを活用したソーシャルセリング
X(旧Twitter)やFacebook、ビジネス特化型のLinkedInといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して、見込み客との関係を構築し、営業機会を創出する手法です。役立つ情報を継続的に発信してフォロワーを増やしたり、ターゲットとなる企業の担当者と直接コミュニケーションを取ったりすることで、信頼関係を築いていきます。
見込み客のリアルな関心事や人となりを把握しやすいメリットがある反面、あからさまな売り込みは敬遠されるため、あくまで情報提供とコミュニケーションを主体とした中長期的な運用が求められます。
2.2.4 既存顧客やパートナーからの紹介
リファラル営業とも呼ばれ、自社のサービスに満足している既存顧客や、協業しているパートナー企業から新たな見込み客を紹介してもらう手法です。第三者による推薦があるため、紹介された側は初めから高い信頼感を持っており、アポイントの獲得やその後の成約率が非常に高いのが最大のメリットです。営業コストをほとんどかけずに優良な見込み客を獲得できる、最も効率的な手法といえるでしょう。
この手法を成功させるには、日頃から顧客満足度を最大限に高めておくこと、そして紹介を依頼しやすい関係性を構築しておくことが大前提となります。
3. 新規開拓営業を成功させる5つのステップ
新規開拓営業は、行き当たりばったりで進めてもなかなか成果には結びつきません。成功確率を高めるためには、一連のプロセスを体系的に理解し、段階ごとに適切なアクションを実行することが不可欠です。
ここでは、新規開拓営業を成功に導くための普遍的な5つのステップを具体的に解説します。この流れを意識することで、活動の質が向上し、安定した成果創出が期待できるでしょう。
3.1 ステップ1 ターゲットリストの作成
新規開拓営業の第一歩は、アプローチすべき対象を明確にする「ターゲットリストの作成」から始まります。このリストの質が、その後の営業活動全体の効率と成約率を大きく左右します。まずは、自社の商品やサービスがどのような企業の課題を解決できるのかを分析し、理想的な顧客像(ICP:Ideal Customer Profile)を具体的に定義しましょう。業種、企業規模、所在地、抱えているであろう課題といった属性を明確にすることが重要です。
理想の顧客像が定まったら、その条件に合致する企業をリストアップしていきます。企業のWebサイトやIR情報、業界ニュース、SNSなどから情報を収集するほか、企業データベースサービスを活用すると効率的にリストを作成できます。リスト作成の際には、単に社名を並べるだけでなく、担当部署やキーパーソン、決裁権者の情報を可能な限り収集することが、後のアプローチをスムーズにする鍵となります。
3.2 ステップ2 アプローチとアポイント獲得
質の高いターゲットリストが完成したら、次はいよいよ実際に接触を図る「アプローチとアポイント獲得」のステップに移ります。この段階の目的は、商談の機会、すなわちアポイントメントを獲得することです。リストアップした企業に対し、テレアポ、メール営業、問い合わせフォームからの連絡、手紙など、ターゲットの特性や状況に合わせて最適な手法を選択し、アプローチを開始します。
アポイントを獲得するためには、一方的に「会ってください」とお願いするのではなく、相手にとってのメリットを簡潔に提示することが極めて重要です。「貴社の〇〇という課題解決に繋がる情報を提供できます」「同業他社での成功事例についてお話しできます」といったように、短い時間で興味を引き、話を聞く価値があると感じさせることが成功のポイントです。アポイントの日程調整も、複数の候補日時を提示するなど、相手の手間を省く配慮が求められます。
3.3 ステップ3 事前準備と商談の実施
アポイント獲得後は、商談の成否を分ける「事前準備と商談の実施」のステップです。優れた営業担当者は、この事前準備に最も多くの時間を費やします。相手企業の公式Webサイト、プレスリリース、中期経営計画、さらには担当者のSNSに至るまで徹底的にリサーチし、企業が現在どのような状況にあり、どんな課題を抱えているかの仮説を立てます。この仮説を基に、商談でのヒアリング項目や、提案の骨子を準備しておくのです。
商談当日は、まずアイスブレイクで場の空気を和ませ、準備した仮説をぶつけるのではなく、丁寧なヒアリングを通じて相手の現状や課題、ニーズを深掘りすることに注力します。相手の話に真摯に耳を傾け、課題の背景や目指すゴールを正確に把握した上で、その解決策として自社の商品やサービスを提案します。一方的なプレゼンテーションではなく、対話を通じて顧客と共に課題解決策を見出していく姿勢が、信頼関係の構築に繋がります。
3.4 ステップ4 クロージングと契約締結
商談を通じて顧客の課題を解決できると合意形成ができたら、最終段階である「クロージングと契約締結」に進みます。クロージングとは、顧客に導入の意思決定を促し、契約へと導くための働きかけです。商談中に相手から導入時期や料金、具体的な機能に関する質問が出始めたら、それは購買意欲が高まっているサインかもしれません。タイミングを見計らって、「もし導入いただけるとしたら、どのプランがよろしいでしょうか」といったように、契約を前提とした質問を投げかけるテストクロージングも有効です。
この段階では、見積書の提出や価格・条件交渉が発生することも少なくありません。安易な値引きで価値を損なうのではなく、提供する価値と価格のバランスを丁寧に説明し、納得してもらうことが重要です。顧客が社内での稟議プロセスを進めやすいよう、必要な資料を迅速に提供するサポートも欠かせません。双方が合意に至ったら、契約書の内容を慎重に確認し、正式に契約を締結します。
3.5 ステップ5 フォローアップと顧客化
契約締結はゴールではなく、顧客との長期的な関係のスタートです。最後のステップは、その後の「フォローアップと顧客化」です。たとえ今回の商談で契約に至らなかったとしても、関係を断つ必要はありません。定期的に有益な情報を提供するなど接点を持ち続けることで、将来的な見込み客として関係を維持できます(リードナーチャリング)。失注理由をヒアリングし、次回の営業活動の改善に活かすことも重要です。
無事に契約を締結できた場合は、商品やサービスのスムーズな導入を支援するオンボーディングを実施し、顧客が期待した価値を確実に得られるようにサポートします。その後もカスタマーサクセスとして定期的にコミュニケーションを取り、利用状況の確認や活用支援、追加の課題解決提案などを行います。
このような手厚いフォローアップを通じて顧客満足度を高めることで、アップセルやクロスセル、さらには新規顧客の紹介といった、LTV(顧客生涯価値)の最大化に繋がっていくのです。
4. 新規開拓営業で成果を出すための成功のコツ
新規開拓営業は、決して簡単な活動ではありません。しかし、正しいマインドセットと具体的なテクニックを身につけることで、その成功確率は飛躍的に高まります。
ここでは、精神的な心構えから、明日からでも実践できる具体的な技術まで、成果を出すために不可欠な成功のコツを5つに分けて詳しく解説します。
4.1 成功に導くマインドセット
優れた営業テクニックも、それを支える強固なマインドセットがなければ継続的な成果には結びつきません。特に、断られることの多い新規開拓営業においては、心の持ち方がパフォーマンスを大きく左右します。
ここでは、成功する営業担当者に共通する3つのマインドセットをご紹介します。
4.1.1 断られることを前提に考える
新規開拓営業において、アプローチしたすべての企業から好意的な反応が得られることはまずありません。「断られるのが当たり前」という前提に立つことが、精神的な安定を保ち、次の行動へと繋げるための第一歩です。例えば、テレアポの平均的なアポイント獲得率は1%未満とも言われています。
つまり、99回以上の断りの先に、1件のアポイントがあるという現実を直視することが重要です。断られたことを自身の能力や人格の否定と捉えるのではなく、「今回はタイミングが合わなかった」「自社のターゲットではなかった」と客観的に分析し、貴重なデータとして次に活かす姿勢が求められます。失敗を恐れず、むしろ断られる経験を積むことで、より効果的なアプローチ方法が見えてくると考えましょう。
4.1.2 常に目標を数値で管理する
感覚や気合いだけに頼った営業活動では、安定した成果を出すことは困難です。そこで重要になるのが、目標を具体的な数値で管理するKPI(重要業績評価指標)マネジメントです。
最終的なゴールである受注額や契約件数(KGI)だけを追うのではなく、そこに至るまでのプロセスを細分化し、それぞれに数値目標を設定します。例えば、「月間100件の架電」「20件のアポイント獲得」「10件の商談実施」「2件の受注」といった具体的な行動目標です。数値を設定することで、日々の進捗が可視化され、目標達成への道筋が明確になります。
また、目標に未達の場合でも、「架電数が足りないのか」「アポイントの質が悪いのか」といったボトルネックを客観的に特定し、具体的な改善策を講じることが可能になります。
4.1.3 PDCAサイクルを高速で回す
新規開拓営業は、仮説と検証の繰り返しです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルをいかに速く、そして数多く回せるかが成功の鍵を握ります。例えば、「特定の業界に絞ってアプローチする(Plan)」→「実際に1週間テレアポやメール営業を行う(Do)」→「アポイント獲得率や反応を分析する(Check)」→「反応が良ければ継続し、悪ければトークスクリプトやターゲットリストを見直す(Action)」といったサイクルです。
この一連の流れを日次や週次といった短いスパンで実行することで、営業活動の精度は着実に向上していきます。一度立てた計画に固執するのではなく、市場や顧客の反応を見ながら柔軟に戦略を修正していく姿勢が、変化の速い現代のビジネス環境では不可欠です。日報や週報を活用して自身の活動を振り返る習慣をつけ、小さな改善を積み重ねていきましょう。
4.2 成果に繋がる具体的なテクニック
強固なマインドセットを土台とした上で、実際の営業現場で成果に直結する具体的なテクニックを習得することが重要です。
ここでは、アポイント獲得から商談、提案に至るまで、顧客の心を動かし、契約へと導くための3つの実践的なテクニックを解説します。
4.2.1 刺さるトークスクリプトの作り方
特にテレアポやメール営業において、トークスクリプトは営業活動の品質を安定させ、成果を最大化するための設計図となります。優れたトークスクリプトは、単なる台本ではなく、顧客との対話を円滑に進めるためのフレームワークです。
効果的なスクリプトには、①導入(オープニング)、②本題(ベネフィット訴求)、③切り返し、④クロージングの要素が含まれます。特に重要なのが②のベネフィット訴求です。自社の商品やサービスが「何であるか(機能)」を説明するのではなく、「顧客にどのような良い変化をもたらすか(価値)」を伝えることが相手の興味を引くポイントです。
また、「忙しい」「今は必要ない」といった典型的な断り文句に対する切り返しトークをあらかじめ複数パターン用意しておくことで、冷静に対応でき、会話を継続できる可能性が高まります。スクリプトは一度作って終わりではなく、実際の顧客の反応を見ながら常に改善を重ねていくことが重要です。
4.2.2 相手の課題を引き出すヒアリング力
新規開拓営業の成否は、いかに相手の課題を深く理解できるかにかかっています。一方的に自社の商品説明をするのではなく、顧客の話に真摯に耳を傾け、質問を通じて課題を引き出す「ヒアリング力」が極めて重要です。
効果的な手法として知られるのが「SPIN話法」です。これは、Situation(状況質問)、Problem(問題質問)、Implication(示唆質問)、Need-payoff(解決質問)の4つの質問を順に行うことで、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを掘り起こすテクニックです。例えば、「現在どのような体制で業務を行っていますか?(状況質問)」から始め、「その中で何かお困りの点はありますか?(問題質問)」と掘り下げ、「その問題が続くと、どのような影響が考えられますか?(示唆質問)」で課題の重要性を認識させ、最後に「もしその課題が解決できたら、どのようなメリットがありますか?(解決質問)」と問いかけることで、顧客自らの口から解決への期待を語らせることができます。
相手の話を遮らず、相槌や共感を示しながら、真の課題を探る姿勢が信頼関係を構築します。
4.2.3 顧客に寄り添う課題解決型の提案
ヒアリングによって顧客の課題が明確になったら、次はその課題を解決するための具体的な提案を行います。ここで重要なのは、「モノを売る」のではなく「課題解決策(ソリューション)を提供する」という視点です。
これは「ソリューション営業」とも呼ばれ、顧客の成功を共に目指すパートナーとしてのスタンスが求められます。提案書を作成する際は、まずヒアリングで明らかになった顧客の課題を改めて明記し、認識のズレがないことを確認します。その上で、自社の商品やサービスがその課題を「どのように解決できるのか」を具体的に示します。
さらに、「導入によってコストが〇%削減できる」「売上が〇%向上する」といった定量的な効果や、「業務の属人化が解消される」「従業員のモチベーションが向上する」といった定性的な効果を提示することで、提案の説得力は格段に高まります。類似業界の導入事例や成功事例を交えながら、顧客が導入後の成功イメージを具体的に描けるような提案を心がけましょう。
5. 新規開拓営業の効率を上げるおすすめツール
労働人口の減少や働き方改革が進む現代において、新規開拓営業もまた、従来の根性論や人海戦術だけでは成果を出し続けることが難しくなっています。そこで重要になるのが、テクノロジーを活用して営業活動を効率化し、生産性を最大化するという視点です。
ここでは、新規開拓営業の各プロセスを劇的に効率化し、成果向上に直結するおすすめのツールを3つのカテゴリに分けてご紹介します。
5.1 顧客情報を一元管理するSFAやCRM
SFA(Sales Force Automation)は「営業支援システム」、CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理システム」と訳されます。これらのツールは、顧客情報、商談の進捗状況、営業担当者の活動履歴といった、営業に関するあらゆる情報を一元管理し、可視化するために不可欠です。Excelや個人の手帳でバラバラに管理している情報をツールに集約することで、多くのメリットが生まれます。
例えば、担当者が過去にどのようなアプローチをしたのか、現在の商談フェーズはどこなのかがチーム全体で共有できるため、重複アプローチや引き継ぎの漏れを防ぐことができます。また、蓄積されたデータを分析することで、受注に至りやすい顧客の傾向や、失注の原因を特定し、営業戦略の改善に役立てることも可能です。
代表的なツールとしては、世界的なシェアを誇る「Salesforce」や、無料で始められるプランも魅力的な「HubSpot」、名刺管理からシームレスに連携できる国産の「Sansan」や「e-セールスマネージャー」などが挙げられます。これらのツールを導入することで、営業活動の属人化を防ぎ、組織全体としての営業力を底上げすることができるでしょう。
5.2 アプローチリスト作成に役立つ企業データベース
新規開拓営業の第一歩であるターゲットリストの作成は、非常に時間と手間がかかる作業です。インターネットで一社一社検索したり、四季報をめくったりといった手作業では、膨大な時間がかかってしまい、本来注力すべきアプローチ活動そのものに時間を割けなくなってしまいます。そこで活用したいのが、アプローチリストの作成を効率化する「企業データベース」です。
企業データベースツールを使えば、業種、所在地、従業員規模、設立年、資本金といった様々な条件でターゲット企業を絞り込み、瞬時にリストを抽出できます。これにより、リスト作成にかかる時間を大幅に削減し、質の高いリストを効率的に作成することが可能になります。また、ツールによっては、企業のキーパーソン情報や問い合わせフォームのURL、最新のニュースリリースなども取得できるため、より戦略的なアプローチの準備にも繋がります。
国内でよく知られているサービスには、ABM(アカウントベースドマーケティング)の実践を支援する「FORCAS」や、豊富な検索軸と使いやすさに定評のある「Musubu」、日本最大級のデータベースを誇るランドスケイプ社が提供する「LBC」などがあります。自社のターゲット設定に合わせて最適なツールを選ぶことが、効率的な新規開拓の鍵となります。
5.3 オンライン商談を円滑にするWeb会議システム
近年、働き方の多様化とともに、営業活動においてもオンラインでの商談が一般的になりました。Web会議システムは、遠隔地の顧客とも時間や場所の制約なくコミュニケーションを取ることを可能にし、新規開拓営業の効率を飛躍的に向上させます。最大のメリットは、移動時間と交通費を削減できる点です。従来であれば1日に2〜3件が限界だった訪問も、オンラインであれば倍以上の商談をこなすことが可能になり、アプローチできる顧客の数を大きく増やすことができます。
また、画面共有機能を使えば、サービス資料やデモ画面を相手とリアルタイムで共有しながら説明できるため、対面と遜色のない質の高い提案が可能です。さらに、商談内容を録画する機能を使えば、後から自身のトークを振り返って改善点を見つけたり、上司や同僚に共有してフィードバックをもらったりと、営業スキルの向上にも繋がります。
代表的なツールとしては、圧倒的なシェアを誇り多くのビジネスパーソンが使い慣れている「Zoom」、Googleアカウントがあれば手軽に利用できる「Google Meet」、Microsoft社の各種ツールとの連携に優れた「Microsoft Teams」などが挙げられます。これらのツールを使いこなすことで、商圏を全国、さらには世界へと広げ、より多くのビジネスチャンスを創出できるでしょう。
6. まとめ
新規開拓営業は、市場の変化が激しい現代において、企業の持続的な成長に不可欠な活動です。しかし、何から手をつければ良いか分からず、成果が出ずに悩む担当者の方も少なくないでしょう。今回は、新規開拓営業の基本的な意味から具体的な手法、成功させるためのステップとコツを網羅的に解説しました。ご紹介したマインドセットやテクニック、SFA/CRMといったツールも活用し、自社の営業戦略を見直すことで、ぜひ成功への第一歩を踏み出してください。







